人材不足が全国で深刻化する中、派遣会社が直面している最大の課題は
「採用しても定着しない」
という問題です。
応募が来ないこと以上に、せっかく採用したスタッフが早期離職してしまうことは、派遣会社にとって最も大きな損失になります。
離職率が高いと、
・採用コストの増加
・派遣先からの信頼低下
・スタッフの紹介応募が減る
・稼働が不安定になる
といった悪循環に陥ります。
しかし、全国の成功している派遣会社を見ていると、離職率を低く維持している企業には明確な共通点があります。
それは——
**労務管理の質が圧倒的に高いこと。**
この記事では、社会保険労務士として全国の派遣会社を支援してきた経験から、「離職率を大きく下げている派遣会社が実践している労務管理の仕組み」を5000文字で具体的にまとめます。
派遣会社にとって“今すぐ改善できるポイント”を中心に解説していきます。
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■ 1. なぜ派遣会社は離職率が高くなりやすいのか?
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まず理解しておきたいのは、「派遣スタッフの離職率は正社員より高くて当たり前」だということです。
理由は主に4つ。
1. 派遣先ごとに職場環境が違い、馴染みにくい
2. 業務内容が自分に合わない場合、逃げ場が少ない
3. 派遣会社との距離が心理的に遠く、孤立しやすい
4. 労務管理が弱い会社だと不安が増す
派遣スタッフにとって「安心できる会社かどうか」は、正社員以上に重要です。
離職率が低い派遣会社は、この“安心感”を生み出す仕組みに長けています。
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■ 2. 離職率の低い派遣会社に共通する4つの特徴
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全国の派遣会社を支援してきて気づくのは、成果を上げている会社の労務管理には次の4つの共通点があります。
1. 【労働時間管理】勤怠・残業・シフトが明確で一貫している
2. 【フォロー体制】スタッフとのコミュニケーションが体系化されている
3. 【法改正対応】会社としてのコンプライアンス意識が高い
4. 【システム化】紙・Excelを極力減らしミスを防いでいる
この4点が整っている派遣会社は、例外なく離職率が低いです。
以下、1つずつ詳しくみていきます。
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■ 3. 【労働時間管理】勤怠管理は“辞めない仕組み”の土台
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派遣スタッフは勤怠管理のわずかな不備にとても敏感です。
たとえば…
・勤怠入力の方法が毎回違う
・残業申請が複雑
・派遣先ごとにフォーマットが違う
・締め日が分かりにくい
・給与の反映が遅い
こうした“勤怠のストレス”は、とても小さいようで離職につながりやすいポイントです。
成功している企業は次のような取組を行っています。
✔ 勤怠システムの統一
✔ スマホでワンタップ入力
✔ 残業申請のルールを1ページで明確化
✔ 就業前に「勤怠マスター研修」を5分実施
✔ エラーは会社側で先回りして修正
特に効果が高いのが、
**「勤怠の統一化」** です。
紙、Excel、各派遣先の独自システム…
これらが混在すると、派遣スタッフも管理者も混乱します。
勤怠が整うだけで離職率が改善した例は非常に多くあります。
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■ 4. 【フォロー体制】“話せる場所”のある会社は辞められにくい
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派遣会社にとって最も重要な労務管理は「フォロー体制」です。
離職率の低い派遣会社は、ほぼ例外なくフォローの流れが仕組み化されています。
例えば、
● 勤務初日のフォロー
● 1週間フォロー
● 月1回の定期面談
● 業務負荷チェック
● メンタルチェック
● 派遣先担当者との情報共有
1つ1つは小さな施策でも、積み重なるとスタッフの安心感につながります。
実際に、ある関西の派遣会社では「勤務初日に5分電話」を導入しただけで、初月離職が半減しました。
ポイントは、
**フォローを“属人化”させず、ルールとして運用すること。**
これだけで離職率は驚くほど改善します。
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■ 5. 【法改正対応】派遣会社は“スピード”が命
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派遣業界は法改正の影響を最も受ける業界のひとつです。
・派遣法
・労働基準法
・社会保険制度
・36協定
・同一労働同一賃金
など、毎年どこかが改正されています。
離職率が低い会社は、法改正への対応がとにかく早い。
● セミナー参加
● 社内共有
● 社内ルール更新
● 派遣先への説明
● スタッフへの案内
これらをスピーディーに行うため、スタッフも安心し、派遣先からも信頼されます。
反対に、法改正に疎い派遣会社は、
・給与計算の誤り
・労働時間の違反
・社会保険の加入漏れ
・年休付与のミス
などのトラブルが多く、それが離職につながってしまいます。
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■ 6. 【システム化】紙とExcelの限界。ミスは離職を生む
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システム化は「労務管理の質」を高めるための必須要素です。
特に、
・有給休暇管理
・勤怠管理
・給与計算
・社会保険手続き
・派遣先への請求
これらを紙やExcelで管理している会社は、どうしてもミスが発生します。
ミスは“不信感”を生み、最も離職につながりやすい要素です。
全国で成功している派遣会社は、次のような工夫をしています。
✔ 勤怠・給与・請求の連動システム
✔ 有給休暇の自動付与
✔ 手続きの自動チェック
✔ スタッフのスマホ連携
紙やExcelを減らすだけで、
● 労務ミスが減る
● 管理時間が減る
● スタッフの印象が良くなる
結果として離職率が大幅に改善します。
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■ 7. 離職率の低い派遣会社が実践している“現場で効く労務管理”
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ここからは、全国の派遣会社が実践し成果を出している「即効性のある労務管理施策」を紹介します。
▼(1)勤務初日の不安を消す「初日フォロー」
→ 初日の電話やチャットフォローを入れるだけで定着率が向上。
▼(2)“ルールの一貫性”を徹底
→ 勤怠・残業・有給のルールが毎回違うと不信感を生む。
▼(3)マニュアルのシンプル化
→ 1冊50ページのマニュアルは読まれません。1ページでOK。
▼(4)派遣先との情報共有テンプレート
→ クレームやトラブルの防止に効果大。
▼(5)手続きの迅速化
→ 社会保険加入を遅らせる会社ほど離職率が高い。
▼(6)有給取得しやすい仕組み
→ 有給の説明が丁寧な会社はスタッフの満足度が高い。
▼(7)メンタルケアの導入
→ 産業医面談は離職予防に非常に効果的。
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■ 8. 労務管理を強化することで得られる“具体的な効果”
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● 離職率が下がる
● 採用コストが減る
● 派遣先の満足度が上がる
● スタッフの紹介応募が増える
● 行政トラブルが減る
● 長期稼働で売上が安定
労務管理は、派遣会社の「売上」「評判」「採用力」すべてに影響します。
つまり、
**労務管理はコストではなく投資。**
ここを強化するだけで業績が大きく変わる理由がわかります。
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■ 9. まとめ:離職率を下げる派遣会社は“つくれる”
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人材不足の時代において、
「辞めない仕組み」
を持っている派遣会社が勝ちます。
その仕組みは決して特別なものではなく、
● 勤怠
● フォロー
● 法改正対応
● システム化
この4つを整えるだけで実現できます。
もしあなたの派遣会社が今、
「採用してもすぐ辞めてしまう…」
「人材不足で安定稼働できない…」
そんな悩みを抱えているのであれば、
まずは労務管理の見直しから始めてみてください。
労務管理が変われば、
派遣会社の未来は確実に変わります。
【参考リンク】
厚生労働省「労働者派遣事業に係る契約書・通知書・台帳関係様式例」

