社会保険加入基準は、働く人が健康保険や厚生年金保険に加入すべきかどうかを判断するための重要なルールです。特に派遣スタッフの場合、「派遣先」ではなく「派遣元」が事業主となる点など、正社員やパートとは異なる注意点があります。
本記事では、派遣スタッフに適用される社会保険加入基準について、制度の背景から具体的な判断ポイント、実務上の注意点までを社労士の視点で詳しく解説します。
この記事でわかること
- 派遣スタッフの社会保険加入基準の具体的な要件
- 派遣元と派遣先それぞれの責任と注意点
- 2026年時点での最新の適用ルール
- 未加入時のリスクと対処法
目次
- 社会保険加入基準の定義と制度の背景
- 派遣スタッフにおける社会保険の考え方
- 社会保険加入基準の具体的な要件
- 派遣元・派遣先それぞれの実務上の注意点
- 社会保険加入基準を正しく理解する意義
- まとめ:派遣スタッフの社会保険加入で押さえるべきポイント
社会保険加入基準とは?
社会保険加入基準とは、労働者が健康保険および厚生年金保険に加入する義務があるかを判断するための法的基準を指します。
日本では、会社員の生活保障と老後の年金確保を目的に、一定の就労条件を満たす労働者に社会保険加入を義務付けています。
制度拡大の背景
近年は非正規雇用の増加を背景に、短時間労働者にも適用範囲が拡大され、派遣スタッフもその対象として重要性が高まっています。
2016年10月から段階的に適用拡大が進み、2024年10月以降はさらに適用範囲が広がっています。2026年現在も、制度の見直しが継続的に行われています。
| 年度 | 主な制度変更内容 |
| 2016年10月 | 従業員501人以上の企業で適用拡大 |
| 2022年10月 | 従業員101人以上の企業へ拡大 |
| 2024年10月 | 従業員51人以上の企業へ拡大 |
派遣特有の「雇用主」の考え方
派遣スタッフの場合、実際に働くのは派遣先企業ですが、雇用契約を結んでいるのは派遣元企業です。
そのため、社会保険の加入義務を負うのも派遣元となります。派遣先の規模や就業形態ではなく、派遣元との契約内容や労働条件を基準に判断する点が大きな特徴です。
実務上の重要ポイント
実務では、派遣元が加入手続きを適切に行っているかが、派遣スタッフの将来保障に直結します。
✅ チェックポイント:
- 派遣元企業の従業員規模
- 自身の労働時間・契約期間
- 派遣元からの社会保険加入通知の有無
派遣スタッフが社会保険に加入すべき条件
現在の制度では、派遣スタッフであっても、一定の条件を満たせば社会保険への加入が必要です。
【必須要件5項目】
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金の月額が88,000円以上であること
- 雇用期間が2ヶ月超の見込みがあること
- 学生でないこと(一部例外あり)
- 派遣元企業の従業員数が51人以上であること(2024年10月以降)
「派遣だから入れない」は誤解
これらを総合的に見て加入の要否を判断するため、単に「派遣だから入れない」という理解は誤りです。
💡ポイント
週30時間以上働く場合は、企業規模に関わらず社会保険の加入対象となります。
派遣元企業の責任
社会保険加入基準を巡っては、派遣元と派遣先の連携も重要です。
派遣元は、契約内容の確認や加入手続きの遅れがないよう管理する責任があります。
派遣元がすべきこと:
- ✅ 労働条件通知書の正確な作成
- ✅ 加入要件該当者の速やかな手続き
- ✅ 派遣スタッフへの丁寧な説明
- ✅ 年金事務所への届出管理
派遣先企業の協力義務
一方、派遣先も、就業条件が実質的に基準を満たしているにもかかわらず未加入となるケースを防ぐため、派遣元と情報共有を行うことが望まれます。
派遣先が確認すべきこと:
- ✅ 実際の労働時間の正確な報告
- ✅ 契約更新時の情報共有
- ✅ 就業実態と契約内容の一致確認
社労士からの推奨事項
社労士としては、労働条件通知書や派遣契約書の記載内容を定期的に確認することを強く推奨します。
派遣スタッフにとってのメリット
社会保険への加入は、保険料負担が生じる一方で、医療保障や将来の年金額に大きく影響します。
加入によるメリット:
- 🏥 医療保険:傷病手当金の受給資格
- 💰 厚生年金:将来の年金額増加
- 👶 出産手当金:産前産後の所得保障
- ♿ 障害年金:万が一の際の保障充実
企業側のリスク管理
派遣スタッフにとっては、加入の有無が生活の安定に直結する重要な要素です。
企業側も、基準を誤って未加入とした場合、後から遡及加入や指導を受けるリスクがあります。
未加入時のペナルティ:
- ⚠️ 最大2年分の保険料の遡及徴収
- ⚠️ 行政指導・監督
- ⚠️ 企業の信頼性低下
- ⚠️ 派遣スタッフとのトラブル
制度を正しく理解し、早期に対応することが双方にとってのリスク管理となります。
社会保険加入基準は、派遣スタッフであっても例外ではなく、一定の条件を満たせば適用されます。
本記事の重要ポイント
✅ 派遣元が事業主となり加入手続きを行う
✅ 週20時間以上・月額88,000円以上などの要件あり
✅ 短時間労働者への適用拡大が進行中
✅ 未加入は企業・労働者双方にリスク
専門家への相談を推奨
特に派遣元が事業主となる点や、短時間労働者への適用拡大など、近年の制度変更を踏まえた正確な理解が欠かせません。
判断に迷う場合や、実務対応に不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することで、法令遵守と従業員の安心を両立させることができます。
適切な社会保険加入は、派遣スタッフと企業双方の将来を支える基盤といえるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 派遣でも社会保険に入れますか?
A. はい、週20時間以上など一定の要件を満たせば加入できます。
Q2. 派遣元と派遣先、どちらで加入しますか?
A. 雇用契約を結んでいる派遣元企業で加入します。
Q3. 短期派遣でも加入対象ですか?
A. 雇用期間が2ヶ月超見込まれる場合は対象となります。
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